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ー林業の営林作業とは?森林を育て守る基本作業とその重要性ー

林業の営林作業とは何か

林業と聞くと木を伐採する仕事を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、それは林業の一部にすぎません。実際には、森林を育て、守り、活用していく一連の作業を「営林作業(えいりんさぎょう)」と呼びます。

営林作業は、植林や間伐、下刈りなど多岐にわたり、木材を安定して生産しながらも森林の環境を健全に保つうえで不可欠な取り組みです。

営林作業の目的

営林作業の最大の目的は、森林資源を持続的に利用できるように整備・管理することです。木材の生産性を高めると同時に、土砂災害の防止、水源涵養、生態系の保護など、多面的な森林の機能を維持する役割も担っています。

・木材の品質と収量を高める
・森林の健全性と多様性を保つ
・自然災害のリスクを軽減する

このように、営林作業は「木を育てながら森を守る」ために欠かせない基本作業です。

営林作業の時期とサイクル

営林作業は一度きりで終わるものではありません。数十年単位の長期サイクルで繰り返し行われるもので、成長段階ごとに適した作業を組み合わせる必要があります。

植林 → 下刈り → 除伐 → 間伐 → 主伐 → 再植林

このようなサイクルを継続して管理することで、森林は健康的な状態を保ち、安定した木材供給が可能になります。

代表的な営林作業の種類と内容

営林作業にはさまざまな工程があります。それぞれの作業は木の成長や森林の状態に応じて行われ、目的も異なります。ここでは主な営林作業を順を追って紹介します。

1. 植林(しょくりん)

最初のステップとなるのが植林です。伐採後や裸地となった土地に、スギやヒノキなどの苗木を植えて新しい森林を育てる準備を整えます。

・地形や土壌に合った樹種を選定
・苗木の間隔を一定に保って植える
・雨や風の影響を考慮した時期に作業を行う

植林は将来の森林づくりの土台となるため、丁寧な計画と実施が求められます。

2. 下刈り(したがり)

植林した後、苗木の周囲に生える雑草や低木を刈り取る作業が下刈りです。日光や養分を苗木に届きやすくし、成長を助ける役割があります。

・年に1~2回、5年間程度継続して行うのが一般的
・鎌や刈払機を使って効率的に作業を行う
・夏場は雑草が伸びやすく、特に重要な時期

この作業を怠ると、苗木が枯れるリスクが高まります。

3. 除伐(じょばつ)と間伐(かんばつ)

下刈り後、木がある程度成長してきたら、混み合った木々を間引く作業が必要になります。

・除伐:成長の悪い木や不要な樹種を取り除く
・間伐:密集した木を間引いて、日当たりや風通しを改善する

間伐を適切に行うことで、残った木がまっすぐに丈夫に育ち、木材の品質も高まります。また、下層植生が豊かになり、生態系の維持にもつながります。

4. 主伐(しゅばつ)

育てた木が成熟し、十分に成長した段階で行われるのが主伐です。これにより収穫した木材は建材や紙材として活用され、経済的な収益にもなります。

・伐採と同時に再び植林を行う「再造林」が重要
・森林を循環的に管理し、次の世代へつなげる作業

持続可能な林業には、主伐と植林のサイクルをしっかり保つことが欠かせません。

営林作業を支える技術と人材

森林の管理は自然を相手にした仕事であり、高度な技術と専門知識が必要とされます。近年では、営林作業を効率化・安全化するための新たな技術も取り入れられています。

林業機械とICT技術の導入

従来は手作業が中心だった営林作業も、現在では専用の林業機械やICT技術を活用する場面が増えています。

・高性能林業機械(プロセッサ、フォワーダなど)による伐採や搬出
・ドローンを使った森林調査やモニタリング
・GPSやGISによる森林資源のデータ管理

こうした技術の導入により、作業の省力化やリスク軽減が進んでいます。

林業に携わる人材の育成

営林作業を担うには、専門的な知識と技術が必要です。そのため各地で林業研修や職業訓練が行われており、次世代の担い手育成が急務とされています。

・チェーンソー講習、安全衛生教育などの実技研修
・森林管理や樹種の選定に関する座学の講習
・地元で働けるU・Iターン支援制度の充実

林業は地域密着型の産業でもあり、地元の自然を守るというやりがいも大きな魅力です。

まとめ:営林作業は未来の森林づくりの基盤

林業の営林作業は、木を「伐る」だけでなく、「育てる」「守る」「つなぐ」ための重要な工程です。植林から間伐、主伐に至るまでの一連の作業は、持続可能な森林経営に欠かせない基本であり、私たちの暮らしと自然環境の調和を支えるものでもあります。

テクノロジーの進化や人材育成とともに、営林作業の質はさらに高まっています。今後も健全な森林を維持するために、営林作業の理解と支援がますます求められる時代です。

2025.07.25